天気がよく、ずっと暑かったので扇風機は回しっぱなし。おかげで洗濯物が乾く乾く。
PC出しっぱなしで、MP3プレイヤーの充電しつつ、暇つぶし用に溜め込んどいたPDF眺めたり……。個室でPC出しっぱなし電源入れっぱなしだと
自宅自室と感覚が変わらないのが恐ろしいところ。傍らには不二家の徳用菓子(ホームパイとカントリーマアム)にネスカフェに湯の入ったポット(京局京段備品)。なかなか快適な引きこもり環境です。ただ、暑いのと
反対側の景色が気になるので、コンパートメントのドアを閉めっぱなしというわけにはいかないのですが。
そんな中、現地時間14:07.モスクワ時間10:07にマリインスク着(ちなみに筆者の
体内時間は相変わらずモスクワ時間。気分はまだ午前中)。例によって駅近くになると操車場が広がるため、「貨車ハント」も盛り上がるってものです。

コンテナ車に40呎と20呎の二個積み。計60呎ですから長さに関しては日本のコンテナ車同様です。無論、幅と高さ方向の余裕がぜんぜん違うわけですが。積まれているのは冷蔵コンテナ。保冷じゃなくて冷凍機つきの気合の入ったリーファーですな。電源は?

こちらは一回り小さな40呎一個積みの車

リーファーコンテナへの電源供給にも、(冷蔵列車用の)電源車は大活躍。よく見ると車端部から電源コードが出ているのが分かります。また、かつては冷媒を送っていたものと思われる丸穴も見えます。

今度は冷蔵車。冷凍装置とメンテナンス用ドアが目を惹きます。片車端にのみ冷凍機があるタイプ。
余談ですが、かつての日本の冷蔵車は一部の例外を除き(試作車と米軍用)、氷で冷やす「保冷車」ばかりでした。コンテナも保冷コンテナばかりという時代が長く続きました。輸送距離が比較的短いためそれで十分だったと説明されています。対して、ロシアで冷凍装置つき「冷蔵車」やりーファーコンテナが多く用いられるのは、輸送距離が長く、保冷車では保たないから……と推測します。

隣の車との微妙な形状の差異があります。冷凍機が両車端にあります。屋根カーブやリブの数も違いますね。

材木を車両限界いっぱいにまで積み込んだ無蓋車。きれいな積載方法には秘密がありまして……(正解は後ほど)。
貨車追っかけてると、気が付いたらマリインスクに入線……。……!!

此処ではありがたいことに、
ピロシキ売りのオバちゃんたちが居るじゃありませんか! シベリア鉄道の旅行ガイドなどを見ると「駅でピロシキなどを売っていて……」云々とか記されており、実は昨日から駅に着くたび珍品の機関車や客貨車同様(笑)に探していたのですが、ついぞ見つからず。この嬉しさといったら。
ちなみに、マリインスクから先もピロシキ売りは見かけませんでしたから、
3列車に関しては此処が唯一のピロシキ補給ポイントということになります。
(停車駅が少ない3/4列車はもともと不利ですね。この種の買い食いには)
ありがたくも25分停車。悠々と買い物に降ります。
中身が分からないものの(苦笑)ピロシキ3つ(100Pせず。300円位)に、ドーナツ1個(20P、70円位)。ほか、売店でカップ麺でかいの2個(1個35P…110円位)と、ビール1本を購入(40P。130円位)。

買い物済ませて……ホームより前方を眺める。向かいは定番の?荷物列車。撮影時は気がつきませんでしたが、先方右手に直流電気機関車が屯っているのが見えます。

ロシア人?の親子づれ、白人旅行者たち……ここでは中国人の車掌がむしろ「異邦人」に。

構内の半野良。大人しい。ロシアでは野良か半野良な犬は見かけましたが、何故か猫は見ませんでした。

ВЛ60。昔、鉄道図鑑の類の「世界の鉄道」のコーナーとかで、ソ連で載っていた機関車の定番はВЛ60かВЛ80だったような記憶があります。あの頃は「かっこ悪い!」とか思ってたのに、今となっては愛着がわいてくる不思議。板ばねの目立つ台車とか、赤いパンタ、エアタンクの目立つ屋上、独特の傾斜を持つ前面と魅力いっぱい。ロシア電機のダサさの象徴?である長い車体裾だって、どっしりした力強さにみえてしまうのです。
側面表示は「Tch-1 BOGOTOL」。やはり所属区表示?

ずらりと並ぶ、
架線塔。ポスターにしてしまいたいアングル。
欧州式の架線の張り方……というのは日本人から見れば羨望を感じるところでもあります。立ち並ぶ架線柱ならぬ架線塔から、つり橋のように渡される吊架線。横梁がない分、構内がすっきり見えるんですね。

先ほどのリーファーコンテナ列車。こんな編成です。

向かいに止まっていた荷物列車の機関車交換。ここまで牽いてきた直流電機は、左奥の引上線に。ここから交流電機に交換されます。交流電機はおなじみのЭП1ですが、よく見ると1号機ですね!
同じ作業が、3列車の前方でも展開されていたはずなのですが、うかつにも見逃し、撮り逃してしまいました……(実はここで交流直流の切替ということを乗車時には知らなかったんです)。撮り逃したと云えば、駅舎も撮り逃しました。周辺が線路と列車だらけで目につかない状況ではありましたが。
大いに参考にさせていただいたMr.Problem氏のサイトには駅舎の写真があります。
http://rw19.net/station/r-russia2.html ちなみに
香港人が写真とってて捕まりそうになった……とか恐ろしいことが記されてますが、幸いにもそんな危なげな雰囲気はありませんでした。日本人のシベリア鉄道旅行記で「駅で写真とってて捕まった」みたいな話はありそうで聞いてませんので(注意された、のレベルはともかく)、極端に神経質になる必要もないんじゃないかというのが実感です。

3列車最後尾。ロシアの寝台車MECT36。Hゴムのような無粋なもののない、リブの入ったグリーンの車体というと何故か東急5000系(丸いほう)が思い出されてしまうのです(妄想過多……)。妻面やら車体裾の丸みの処理とか、この辺の共産圏客車って
意外と丁寧に作られた車であることが伺えます。
列車に戻ってからも、撮ります。

向いがわの荷物列車に付いていた、元冷蔵車の荷物車。日本でもレキ1で荷物車代用してたといいますので東西やること変わらず?

上記車両の、ドア封緘。郵便・荷物車のドア封緘は昔の日本も同様でした。

かねてから気になっていた、郵便車の
金網のなか。瀟洒なカーテンが掛かり、ここも長期間の「生活の場」であることを感じさせます。左手に見える古い中国式の魔法瓶も印象的(10年位前の中国のホテルや列車でみられた、コップ状の上蓋がついてて、その中にコルク栓のある、アレです)。

郵便車のドアの中。消火器にごみ箱。テーブルの上にはダンボール?

乗務しているのは私服のオバちゃん。どこか和む光景。

去り際に、再度ピロシキ(と、そのほかあれこれ)売りのオバちゃんたち。

荷物列車の最後尾。客車の端部はこうやって凸凹だらけのほうが格好よいと思う由。

駅を出てまもなく。日本なら文化財もの?の石造機関庫。架線が入っていないので、ディーゼル機関車用に使われているのでしょうか? 右手み見える給水塔も丸みの強い珍しいタイプです。

石造庫をバックに、交流電機の並び。
さっきまで3列車を牽引してきたЭП1の48号機が引上げているところ。並んでいるのは一見同形式に見えるВЛ65(1992-1998)。ВЛ65に関して、1999年に仕様を一部変更したのがЭП1、という感じの模様。それにしてもВЛ65の4本+4本のジャンパ栓が賑やか。
マリインスクの構内。公園のように緑が多いのが印象的。
上方を見ると
架線の絶縁装置?が目に付きます。マリインスクでは構内で
交流直流の地上切替(日本では黒磯が唯一ですが、ロシアでは地上切替が殆ど)を行っているため、その関連と推測します。菱形の標識?らしいものもありますね。

マリインスクでは、直流エリア交流エリアが混在しています。この辺は直流エリアで待機する電機も直流機。写真の直流電機ВЛ10は1961-1977年製造のソ連製。楕円のライトケースと星のマークが如何にも、って感じ。

ВЛ10でも少し違うタイプ。ライトケースが丸形。星ではなくてロゴマーク、側面もВЛ60のような角窓です。奥の前面窓が斜めになっているタイプも、どうやらВЛ10の模様。三重連化されており、屋根上に強引に?高圧線が引き渡されています。

ВЛ10の世代違いが並ぶ。

今度は交流エリアへ。ВЛ80(1961-1994製造)とВЛ85(1983-1994製造)が並びます。ВЛ85の顔がВЛ65、ЭП1に継がれていった流れのようですね。
中国の8G型(1988年製造)が、
http://www.geocities.jp/df4b2106/locoreview/E28.htm(「China Syndicate」より)
ВЛ85にかなり似ているのですが、
本家のほうがスマートな印象ですね。周りにВЛ80やВЛ60に囲まれてるから少しはモダーンに見えるんでしょ……ということもでないようで。塗分とかのセンスの問題なんでしょう多分。

ВЛ80の3重連形ほか。ВЛ10と一見区別が付きませんが、交流機は屋根に回り込む大きなルーバーがあるので、慣れたら簡単に識別できます。
それにしても、この一齣にいったい何組の電機が写っているのやら……。9200kmの鉄道に平均20分間隔で貨物列車があり、平均速度を想定すれば機関車の量数も割り出せそう……すごい数字が出てきそうですが。

ВЛ80。見た目はおっかないけど馴染むと人懐っこいロシアのオバちゃん……というイメージですね。擬人化するなら。

交流電機ゾーンを過ぎると、貨物列車が待機するヤードに出ます。
一番左のВЛ80と一番右のЭП1は交流機、右から2番目のВЛ10は直流機と、
交直混在しているヤード。おそらく、貨物列車の交直切替をここで行っているのではないでしょうか?

また冷蔵車(冷凍機2台のタイプ?)。隣は材木車にコンテナ積んで運用しているようです。

電源車。屋根カーブが前後の冷蔵車と異なります。別の時期に造られたのでしょうか? 電源車のドアが開いているので、無人運転ではなく、乗務員がいるものと推測。

フラットカーで輸送される「現代」。あの厄介な国が鉄路を開放さえしてくれたらこの種の貨物は増えそうなものなのに……。
背後にも冷蔵車が写っていますが、それだけメジャーな車種でもあるわけです。日本と違って高速道路と冷蔵トラック、あるいは船舶輸送がありえない以上、この多さは必然的なものなのでしょう。

コンテナ車。中央部が盛り上がった不思議な(しかして、強度確保上は有利な)形状をしています。
40呎二個積のようですから、かなり長い車でもあります。右となりの車も珍奇……山形の側梁の中にコンテナを入れる造り。クレーン荷役で、かつコンテナに対して車両限界に余裕があると、積みつけもコンテナ車の形状も自由度が増すってことで。
マリインスク周辺での貨車ハント、機関車ハントも落ち着いたところで昼食です。

オームリは最後の1匹。ピロシキの中身はジャガイモ、写ってないけどドーナツ(どちらもそこそこ美味しい)。スープとビール。
あとはジン呑んでしばらくおひるね……。