さて、宇宙飛行士博物館の続き。特徴的過ぎる建物のため、入り口探すのに一苦労……。ましてや発熱と頭痛とだるさを抱えた中で…。

社会主義の神話……。女神?はソヴィエトの「鎌」を持ってますね。労働者や技術者が描かれている或る種の素朴さこそ魅力。


こちらのサイドにはレーニンが。
一回りして入り口に辿り着きますが、なんと火曜日(と水曜日)は休館日でした!
徒労感が数割増しで襲ってきます。木曜日にまたモスクワに戻ってくるので博物館そのものは再訪のチャンスあるじゃんとかそーいう問題ではなくて。

宇宙飛行士博物館の前で見かけたおなじみのラーダ。確かに、遠めに見ればハコスカに見えなくもないですが(あの時代の日本車のデザインにイタリアの影響強かったと聞くので偶然ではないです、多分)、妙に恥ずかしいパーツでチューンされてるのはどうみればいいのやら……。エアロパーツの「GT」がいい味出してます(勿論褒め言葉です)

周辺。あとから分かったのですが、ВДНХというのは「ソ連国民経済達成常設博覧会」の略なんだそうで、ソ連時代はそんな博覧会が文字通り常設されてたそうな。各産業分野(農業・鉱業・工業・交通etc)のパビリオン並ぶ中で、宇宙飛行士博物館はその目玉だったんでしょう。
で、いつ「常設」じゃなくなったかのかが気になってしらべてみたら……この写真のシンボリックな建物群が実は未だ現役であるとのこと! ВДНХ広すぎです。
参照:全ロシア博覧センター
再び地下鉄へ。そして工業技術博物館に「転戦」します……。ちなみにモスクワだと地下鉄に乗るという基本的な行為さえ「ちょっとした冒険」であるのは先に記したとおり。わけの分からない入り口に出口、世界中の誰もがキリル文字読めると思ってるであろう不親切な表記類。ただ、流石に二日目だと慣れは出てきて乗り間違いこそは無くなりますけど。
車内では相当に体調悪そうに見えたのか、お婆さんに席を譲られました……。すぱしーぱ。
工業技術博物館はやはりルビャンカ駅(KGB前)が最寄。しかし、地下道しか移動手段がないため、道ひとつ渡るのに大苦労。地下で方角が分からなくなるというパターンが少なくないので、コンパスがあると便利かなぁと思ったり。

KGB。まぁ建物には罪はないんですよ、多分。

そして、向かいにある該当施設の現状。
ひょっとして、改装休館中……?
諦めかけますが、念のため周辺を歩き回ること20分(なにせ、敷地が広大なので)、大事なことなんで何度も記しますけど、頭痛・発熱下でのことです。おまけに無駄に天気良くて暑いわ。

周辺。古そうな教会。地味なんでたぶん革命前の?

周辺。左が工業技術博物館。大きいです。

建物自体には何箇所か開いているドアがあったのですが、博物館以外のテナントも入っているので紛らわしいことこの上なし。一箇所で「インダストリアル・ミュージアム?」とか訊いたら、何とか入り口のある方を示してくれ、何とか入り口にたどり着いたのでした。幸いにも改装は外部だけのようで、中は開いてる模様。
工業技術博物館は、如何にもなソ連チックな博物館♪
切符買うところと荷物預けるクロークと検札するところは別々だわ(クロークがあるのは良いことだと思います。収蔵品のためにも、荷物持たずに観覧できる見学者にためにもなってますので。勿論無料ですし)、ミュージアムショップや食堂は暗くて品揃え悪いわで確実に「ソ連」引きずってていい味出してます。前者は西側のプラモデルとか売ってるんですが、空っぽのショーケースが如何にも。後者は昔の役所の食堂みたいな感じ。
勿論、「ソ連」「ソヴィエト聯邦」を期待しての入館ですから、皮肉抜きで不満などありませんが。
ただ、館内撮影不可なのはちょっとケチかも。フォトライトで痛む美術品でも、ましてや国家機密の最先端云々が展示されてるわけでもないので。ただ、あの体調だと観て回るのが精一杯で写真まで撮る余裕はなかったと思いますが。そんなわけで館内写真ないのはお許しください。
建物自体は偉く立派です。1870年に建てられたと歩き方には書かれてますが、元(革命前)はなんだったのやら? 大商人の商館とか、貴族の館とかなんか反革命的な用途を想定しちゃいそうな雰囲気。この種の華麗な館が工業とか技術の博物館に転用されてるところが凄くソ連的に素敵。
で、最初の展示室にあって度肝を抜かれたのがコレ。

写真撮れなかったので、拾い物画像。ありがたいことに対人比でのサイズが分かりますね(出典は以下)。
http://nuclearweaponarchive.org/Russia/Sovwpnprog.html
云うまでもなく原爆、解説読むまでもなくプルトニウム型(……分かる自分がイヤ)。英文解説もあったような気がしますのでソ連初の原爆と分かった次第で。
コレの現物が、目の前にある衝撃がいかほどのものであるか……。正直申せば、マジで感動しました。善悪判断抜きに、この不気味さと得体の知れないパワー、そして機械としての精密さ……ヤバい魅力に満ちてます。もちろん、触れるところに展示してあります(笑)。一番ヤバい部分は抜いてあると信じてますけどね。
ちなみにソ連の初期核開発は以下参照と。
http://ja.wikipedia.org/wiki/RDS-1
ツッコミどころがあるとしたら、アメリカに4年も遅れてたこととか、アメリカのコピーな部分もあったこととか……ちょっと先の感動が薄れますけど突っ込みどころそこじゃないだろと。
それにしても……この展示に問題があるとすると、このインパクトが大きすぎてほかの展示物や模型類が全て印象に残らなくなってしまったことでしょうか。これも突っ込みどころがずれてますが。
で、相変わらず体調悪い中、地下1階地上3階の広大な博物館廻りました。当然エレベータなしで、天井がやたら高いので体感は地上5階でしょう。博物館なら疲れないだろうと舐めてたが裏目に出ました。
展示内容には上野の科学博物館みたいな自然科学の基礎を年少者に教えるための無難な展示も多いのですが、鉱工業系の大模型はなかなか魅力的でした。ただ、動いてないのが残念なんですけど。光学機器…カメラは……銀座や新宿でも値札つけて展示してますよね(笑)。
当然、休み休みながら。ベンチで横になっては、怒られつつ。
あれこれ雑多で広範な展示眺めつつ、その中でも注目してたのが電子機器。確か小学校のとき、「ソ連の電卓は、デジタル数字が7セグメントではなくて、6セグメントだ」と吹き込んでくれた先生が居たんですよ……。純朴にも、6セグメントで0〜9の数字表現すること考えたりもしてました(無理はあるけど、可能。三角形を上下にくっつけて8の字にしたところを想定されたし)。
勿論、ここにはあるだろう! ないわけないだろうと思ってました。
さて、関連する展示物はアナログメーターのみ機器に、ニキシー管で数値表示する機器(余談ですがニキシー管も大好き。ニキシー管時計は部屋の置時計で愛用してます)と時代が下り、そしてFL管のセグメントディスプレイ……。
全部、普通の7セグでした。大うそつき!
あとは……如何にも西側のをコピーしただろって雰囲気の80年代のテレビやステレオ(ミニコンポ)、MSXと思われるPCが印象に残りました。
3時間位かけ、ほぼ全館見て廻ったでしょうか……。普通の人には全くお勧めしませんが、やっぱりソ連的なものが好きな人には堪らない場所だと思います。一人でじっくりか、或いは趣味の合う人と突っ込み入れつつ観覧するのが楽しいかと。
休憩入れつつが良かったのか少し体調戻り、外歩きに耐えられる状態にはなってきました。
サンクトペテルブルグに向かう56列車が20時20分発なので、まだ3時間くらいは残ってます……。