1995年のドイツDWE社(東ドイツ側)の製造といえど、その雰囲気はもっともっとクラシックなもの。RW19には1958年製造?の初代が居り、現用のものは二代目なのですが、初代をそのまま準えた造りなのです(初代は北京の鉄道博物館に保存され、車内も公開されています)。
どこぞの高額な運賃料金の必要なクルーズ列車のような華美さはありませんが、質実剛健な造りと趣味のよさのある客室です。中国(特に東北)には低廉に泊まれるクラシックホテルが多々ありますけど、共通するものはありましょうか。
余計なサービスはないものの(たとえば寝台のセットはセルフサービス)、お湯が使えることに電源が使えること、そこそこ清潔に保たれていることと、必要なものは満たされている由。

・外形(寝台側)。右からデッキ(常用)、WC、車掌室、電気室(放送室?)、客室×8、WC、デッキ(非使用で喫煙所代用)となります。台車は中国仕様。

・デッキからのエントランス部分。左にWCと車掌室。右に石炭暖房装置とサモワール。掛かっているのは暖房とサモワールの使用許可証。

・通路。左の飾りガラスは客室の洗面所のものです。床の絨毯は軟臥・硬臥も共通ですが、この車が一番似合ってます。

・通路を振り返る。突き当たりにあるのはサモワール。

・サモワール(ロシア式湯沸器)拡大。非使用時にはカバーで覆えるようになっています(ただし常時使用可能でした)。カバー内側には複雑そうな取り扱い説明が。本体真ん中の赤いレバーを捻ると熱湯が出ます。やけど注意! 不安なときは車掌に頼みましょう。

・通路の端。消火器が2種。下にはゴミ箱。右には寒暖計(重要すぎる)。プレートはなんと真鍮製。号車表示の書体も一昔前の中国風で味があります。

・通路の端より振り返る。右にWC。定員16名の客車にWC二箇所ですから贅沢な?もの。

・客室内。筆者が利用したタイプです(反転タイプあり)。左に2段寝台、右に一人用ソファと洗面所。

・客室の通路側を見る。ドア脇の白い箱は照明のスイッチ(切・蛍光灯・白熱灯)。

・客室通路上は荷物置き場で大型のトランクでも納まります。ドアの内側は鏡。フックも豊富にあり、長期間の「滞在」に備えています。

・下段寝台アップ。寝台利用時は背摺りを垂直にして寝台幅を広げられます。座席としては奥行ありすぎて、やや座り心地に難があります。そこで……以下の写真参照。

・同上。座席利用時は背刷りに角度をつけることができます。ただし、この使い方は車掌・服務員は認知していない模様で、翠帳な状態がディフォルトですが。背摺りを引っ張り出すとこの状態に固定できます。

・一人がけのソファ。こちらも標準状態では背刷りが垂直。

・寝台同様、引っ張り出すと背刷りに角度がつけられます。

・木綿のシートカバーには刺繍が入ります。素朴ながらも品のある配慮が嬉しい。
エスニック柄のシートモケットは製造時からのものか、更新されたものなのか不明ですが、客室のインテリアに合ったものでこれも好ましい。

・寝台下は荷物置き場。トランクが納まります。絨毯は床に張り込んであるわけではなく、リノリュウムの床の上に敷かれています。

・ソファの下にも荷物が置けます。こんなわけで荷物置き場は豊富なんですが……。しかし、近年の大型バックパックには対応していません(笑)。この客車にはトランクの方が似合いますよ!

・ドアつきのコートロッカーもあります。冬には重宝するでしょう。

・コートロッカーのドアは見事にツライチに収まります。工作のよさが伺えます。

・上段寝台を下ろしたところと、折りたたみの梯子。この梯子はロシアの寝台車と共通するものです。ちなみに中国の寝台車ではもっと簡易な足掛けしかありません。

・梯子を畳んだところと、頑丈そうなドアロック。もちろん内からの施錠可能。外からの施錠は車掌に頼めばやってくれます。
<続く>
【関連する記事】
- 【第13日目の1 20090607】北京篇9(遂に帰国。北京首都空港内の電車など..
- 【第12日目の3 20090606】北京篇8(四合院、二軒目)
- 【第12日目の2 20090606】北京篇7(続:中国鉄道博物館。西側から中国に..
- 【第12日目の1 20090606】北京篇6(中国鉄道博物館。初代「西方快車」R..
- 【第11日目の2 20090605】北京篇5(中国でICE3に乗る)
- 【第11日目の1 20090605】北京篇4(取り敢えず、四合院で一休み)
- 【雑記】空港アクセスの電車に思う
- 【第10日目の4 20090604】モスクワ篇10(シェレメチェボ空港とCA91..
- 【第10日目の3 20090604】モスクワ篇9(赤の広場とグム百貨店、アエロエ..
- 【雑草】備忘録:ソ連・ロシアの自動車(乗用車)の概観
- 【第10日目の2 20090604】モスクワ篇8(「旅の終りは宇宙ステーションで..
- 【番外篇】サプサンに至る遠い道。モスクワ−レニングラードの知られざる高速列車たち..
- 【番外篇】サプサンに至る遠い道。モスクワ−レニングラードの知られざる高速列車たち..
- 【第10日目の1 20090604】モスクワ篇7(ペテルブルグ→モスクワの55列..
- 【第9日目の19 20090603】ペテルブルグ篇19(市電その5……にはなりま..