2010年01月02日

【第10日目の2 20090604】モスクワ篇8(「旅の終りは宇宙ステーションで?」宇宙飛行士博物館)

 思えば、子供の頃はソ連の宇宙開発というのはとてもとても遠くに感じられたものでした。アメリカに関してはアポロにシャトルと派手な情報も多く、子供向けの雑誌(それこそ今度廃刊になる「学習」や「科学」あたり!)やら図鑑で紹介されることも多かったのに、ソ連に関してはまるで敵国と云わんばかりの地味な扱い。
 初期に犬を飛ばして未回収とかやってますから、それもまたネガティブなイメージに繋がっていました。ましてや鉄のカーテンの向こう側……。

 おや? と思ったのはソ連末期のTBS秋山氏のソユーズ・ミール搭乗。
(思えば、お金を払えば乗れる宇宙船を実現したのはソ連だったのです……)

 そして、がらりと印象が変わったのは「宇宙の傑作機シリーズ:ソユーズ宇宙船、他(同人誌)」「スペースシャトルの落日」「われらの有人宇宙船」辺りで有人宇宙船についてそれなりの知識を持ってから。

 アメリカよりずっと堅実に、安全志向で、そしてコスト優先で進められてきたソ連・ロシアの宇宙開発。裏読みすればキリはありませんが、それはアメリカだって同じ。ソ連への偏見抜きで見るなら賞賛すべき点も多かったようです。
 興味持ったら以下サイトはおすすめです(すべて日本語)
http://homepage3.nifty.com/junji-ota/index.htm
http://spacesite.biz/russia.story.top.htm
http://www2.tokai.or.jp/RMS/

 また、宇宙開発を扱ったフィクションでも「王立宇宙軍」「ロケットガール」はかなりソ連宇宙開発を意識した作品で気がついたらはまってましたね。後者では出版時現役だったミールも出てきますし。

 そんなわけで、モスクワの宇宙博物館はかなり気になってました。鉄道からの遠縁で乗り物ではある程度の居住空間orベイロードのあるものが好き(例えば飛行機なら戦闘機より重爆撃機や輸送機が好き)という嗜好ですので、メインテーマが「有人宇宙飛行」であることも大きい。いや打上機や無人探査機が嫌いってわけじゃないですけどね(やっぱりロシアのR-7系好きです)。
 幸いにも、2009年春に改装終了!再オープンばかりしたばかりではありませんか。これは絶対に見逃せないと……。

 
 メインホール。かなりひろびろとした空間。最初、博物館はこのホールだけなのかな? と勘違いしたほどです(少し前までの神田の交通博物館同様、奥がふかいんですよ実は)。
 ヴォストーク宇宙船。詳細は以下参照。

 世界最初の有人宇宙船。小さなカプセルに過ぎませんが果たした役割はとてつもなく大きなもの。球形という無駄の無さが素晴らしいデザインです。細部が精密機械であることを伝えます。


 内部。射出座席が収まるため意外と広いものです。但し、ここに3人詰め込んだと云われる3座のヴォスホート宇宙船もあったわけで、それは流石に狭そうです。
(まぁ、世には深海探査船とかラッシュ時の田園都市線とかいう更に狭い空間に乗員押し込む乗り物もあるわけですが)


 宇宙服のアップ。ここで宇宙への偏見が一つなくなりました。宇宙服というのはもっと未来的な生地とか縫製……いや縫製以外の手法で作られたものかと思ってたんですよ。生まれてこのかた(笑)。
 生地を縫製して作られる、一般的な衣服の延長線上にあるものだったんですね。いや、EVA用とかは別なんでしょうけど。


 衛星追尾船の模型。実に未来、そしてSF的なスタイルではありませんか。


 片道飛行のカプセル。クドリャフカに対して過度な憐憫は持ちませんが(動物実験すべてを否定するわけにはいきませんのでね)、贄としての功は忘れてはなりますまい。


 奥に行くと、更に広い空間が用意され、こちらにはミールやソユーズという最近まで現役だった、或いは現役の宇宙ステーション、宇宙船が展示されています。


 宇宙ステーション、ミール概観。
 単なる複製なのか、或いは訓練用のものなのか分かりませんが……。
 ひたすら大きい。これだけのものを打ち上げたのはやはり凄いことです。
 なお、博物館の展示そのものも階段などの多い立体的なものであることが分かりますね。


 ミールのコントロール席。宇宙空間では上下左右を意識する必要はないはずなんですが、生活空間と考えると「床」「天井」そして「椅子」という概念が大事になってくるのでしょう。とても良い思想です。


 ミール内。右には生物実験装置。




 テーブル。宇宙食の保温装置を兼ねています。
 奥に見えるのは個室寝台、右奥はトイレ。
 個室寝台はなんと縦向けで立って寝る!わけですが、よく考えると宇宙空間ではそれでも大丈夫なんですね。

 個室寝台。上下の感覚が地上と同等になるように配慮されたミール内で、唯一「無重力下」であることを意識させる場所です(笑)。


 トイレ。言うまでもなく大小とも「吸い取って」しまうものです。


 おそらくコンピューターだと思うのですが。知識ないので分かりません。
 

 左が宇宙用のチェス板、右が宇宙用冷蔵庫。チェス盤は駒を差し込むものですが、磁石などではマズい理由があるんでしょうか。
 冷蔵庫は中身が飛び出さないようになっています。サンプルの果物類が見えますが、宇宙でも生の果物は食べられるんですね!
 

 ソユーズ宇宙船の内部。左に扇風機が見えます。
 冷房……というより温度調整の機能がないわけではないので、空気の撹拌用なんでしょうか?


 ソユーズのコクピット。スイッチがいっぱい。細かいことが分かると面白そうなんですが……。


 ソユーズの外形。裏面の表記類はロシア語の他英語表記もあります。(緊急・最悪の場合)世界の何処に落ちるか分からないことを前提にしています。 底面の高温に関する注意が目を引きました。


 別のソユーズ。
 雪の山中に着陸したところを再現した展示(ここは凄く、今時の博物館らしい展示です)。やはり英語も含めて取扱注意が描かれています。高温になるのは相当に広い範囲のようです。
 近所に宇宙船が降着したら要注意ですね(笑)。 


 入場料とかの案内。参考までに……。外国人大人250P……だったと思います。¥800の価値は十分。

 展示は観やすく実に豊か、そして英文解説も完備しておりなかなかの博物館です。実物や実物大複製?が多いので水増し感ゼロ(というか、これでも割愛しまくってる感じあり!)。嬉しいのは殆んどの大型展示物は「直に触れる」場所におかれていることでしょうか。プラスチック越しにしか鑑賞出来ないスミソニアンのマーキュリーカプセルよりは身近に感じます。
 ここはオススメです。問答無用に!


 最後に。やはりこの塔は晴天の日が似合います。ずっと空へ!
posted by 西方快車 at 21:58| Comment(0) | 2009年北京→モスクワ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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